トリコモナス膣炎の症状は泡の混じった黄色いおりもの

主にセックスを通じて、トリコモナスという原虫(ゾウリムシなどの仲間)に感染して起こる膣の炎症です。ごく稀に公衆浴場やトイレの便座で感染するという例もありますが、感染経路の大半はセックスが原因ですので、STD(性感染症)として分類されています。

膣がかゆい女性

国内でのトリコモナス膣炎の感染者数は減少傾向にありますが、何度も再発を繰り返すため治療が困難になる症例も多いため、油断は禁物です。感染者の年齢分布は、若者を中心として感染するクラミジアや淋病と異なり、若者から中高年まで幅広く見られます。

トリコモナス原虫は、男性の尿道や前立腺、精液に存在していますが、男性は自覚症状に乏しいため、感染に気が付かないままコンドームをつけずにセックスをしてパートナーも感染させてしまうのです。再発のルートをみると、①治療後も僅かに残っていた原虫によるもの、②性器周辺の臓器に生息していた原虫による自己感染、③パートナーからの再感染などが挙げられます。

トリコモナス膣炎を発症すると、中に泡が混じった黄色い膿のようなおりものが出てきます。おりものはチーズを焼いたような嫌な匂いがあり、膣がかゆい、膣が痛いなどの症状を伴うこともあります。外陰部にまで炎症が拡がると、膣が赤く腫れ、排尿時にヒリヒリと染みたり、性交痛を感じたりすることもあります。

膣に激しい症状が現れる原因として有力なのは次の説です。膣内には善玉菌である乳酸桿菌が生息しており、グリコーゲンを栄養とすることで、膣内のpH(酸性度)を適切に保ち、性感染症の病原体などが繁殖しにくい環境を作っています。

しかし、トリコモナスもグリコーゲンを栄養源としているため、善玉菌の分まで消費してしまって善玉菌が減少→膣内のpHが上昇→トリコモナス原虫やほかの細菌が増加→膣内炎症の悪化という流れになるのです。

膣内のかゆみや痛み、おりものの異常などの不快な症状は膣カンジダでも見られるため、婦人科では膣分泌液を採取して顕微鏡で調べて両者を鑑別することが治療の第一歩です。

トリコモナス膣炎の治療は、膣内を洗浄してから原虫を殺す「フラジール錠(メトロニダゾール)」という膣座薬を投与することで、およそ2週間くらいで治ります。おりものの異常、痛みやかゆみなどの症状が治まっても、膣の奥にトリコモナス原虫が残っていることもあるため、自己判断で婦人科の通院を止めてはいけません。治療が完了した後も、原虫がいなくなったことを確認する検査が必要です。

先述のとおり、男性は自覚症状に乏しいため、女性の感染が明らかになった時点で男性パートナーも検査を行うことが大切です。男女双方が同時に治療して完治しないと、セックスをして何度も感染が起こる(ピンポン感染)恐れがあります。