2016年 6月 の投稿一覧

女性の淋病は症状が乏しく、放置すると不妊症の原因に

セックスを通じて感染する淋菌が原因で発症する淋病は、コンドームを使用しないセックス1回で感染する恐れがが約30%あるとされる、感染リスクの高い性病です。

抗生物質が効きにくいSTD(性感染症)

淋菌に感染してから2~10日程度の潜伏期間後、女性の場合は膣炎を発症して、おりものが増えたり、陰部がかゆくなったりします。尿道にも感染が広がっていると、排尿痛や頻尿が現れます。さらに、子宮頸管炎を起こすと、膿状の黄色いおりものが出たり、下腹部痛などの症状も現れますが、女性の約半数は淋病の自覚症状がないとされています。

淋病を放置して子宮頸管炎、卵管炎、子宮内膜症などの段階まで進行すると、卵管が塞がったり、子宮内膜が着床に適さない形に変形するリスクがあるため、不妊症の原因になります。淋病はクラミジアと並んで、不妊の原因となるSTD(性感染症)の一つです。

一方、男性は初期の段階から激しい排尿痛、尿道から膿が出る、尿道が熱っぽく感じるなどの尿道炎の症状が現れます。泌尿器科で治療を受けずに放置していると、前立腺炎、副睾丸炎、尿道狭窄などを引き起こします。なかでも副睾丸炎諸は悪化すると、無精子症を発症して男性不妊の原因となることがあります。

クラミジアと同様に淋病もフェラチオによる喉への感染が流行しています。扁桃腺の腫れ、喉がイガイガするなどの症状は淋病以外でもでみられますので、感染にきづかないまま誤った薬(風邪薬など)を飲み続けているケースもあります。

喉の感染の検査は、綿棒のようなもので喉の粘膜をぬぐう「咽頭スワブ」と呼ばれる方法、口腔内うがい液を検体として淋菌の有無を調べる方法がありますが、いずれも患者さんの負担は少なく手軽に行うことができます。

性器と咽頭に淋菌が同時感染している女性も少なくなく、以下に挙げる抗生物質の治療で性器の症状が治まった後も喉に菌が残存していることもあるため、治療の際には注意が必要です。

淋病の治療の中心は抗生物質の投与です。既存の抗生物質に対して耐性を示す(=薬が効かない)「薬剤耐性菌」が増えたこともあり、淋菌への選択肢としては、ロセフィン、ケニセフ、ノイセフ、トロビシンという抗生物質だけが有効となっています。ロセフィンは1回限りの注射で済むので、飲み忘れや自己判断による服用中止のリスクもないため、高い効果を示しています。

膣や子宮口、肛門の小さなイボ!尖圭コンジローマの症状かも?

女性の外陰部や肛門の周辺、男性なら亀頭や包皮、陰嚢(玉袋)、肛門の周囲に白色からピンク色っぽい米粒大のイボ状の腫瘍ができるのが、尖圭コンジローマです。原因となるのはHPV(ヒトパピローマウイルス)の6型/11型に感染することです。

女性は病変に気がつきにくい

主にセックスを通じてHPVに感染すると、1~3か月の潜伏期間を経て、イボが現れます。コンジローマはラテン語で「湿ったイボ」という意味がありますが、その名のとおり、イボに触ると柔らかくて湿っぽい感じがします。イボが増大すると排尿時にしみて痛みやかゆみを感じたりします。外陰部にできたイボは、セックス時にペニスが当たって痛みを感じることもあります。

妊婦さんがHPVの6型もしくは11型に感染していると、頻度はそれほどではないものの産道感染を起こして新生児が「呼吸器乳頭腫症」という病気になる可能性があります。呼吸器乳頭腫症とは喉にイボができる病気で再発率が非常に高く、何度も手術が必要になります。

セックス以外にも皮膚や粘膜の傷口からHPVに感染して発症することもあるため、コンドームだけでは完全に予防することはできません。妊婦さんが感染していると上記のように母子感染のリスクが生じますが、妊婦健診で発見が可能なため国内ではそれほど心配する必要はありません。

尖圭コンジローマは、「イミキモド(ベセルナクリーム5%)」という専用の治療薬が国内で承認されたことで簡単に治療ができるようになりました。ただし、治療方針や症状の程度によっては、液体窒素による凍結療法、電気やレーザーでイボを焼いて固める治療法が併用されることもあります。

尖圭コンジローマはイボが出ていない部位にもHPVの感染が広がっていることがあり、治療を終えても再発することがあります。3か月以内の再発リスクは約25%とされており、尖圭コンジローマを完治させるには時間がかかります。

なお子宮頸がんの原因ウイルスもHPVですが、そちらは悪性型に分類される16型や18型などの感染によって起こるものですので、尖圭コンジローマを発症したからといって子宮頸がんとの関連を心配する必要はありません。

外陰部の水ぶくれが潰れて痛い!性器ヘルペス感染症

性器ヘルペスは、セックスを通じて単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染することで、膣や尿道口の周囲に水ぶくれ、潰瘍(ただれ)ができるSTD(性感染症)です。

再発率が高い性病です

性器ヘルペスの最大の特徴は、症状が治ってもウイルス自体は死滅しておらず、ずっと神経細胞に潜伏していることです。そしてセックスとは関係なく、風邪や疲労など体の抵抗力が低下すると、ウイルスが神経節から皮膚や粘膜に移動して何度も再発するのです。

単純ヘルペスウイルスの初感染時には、感染から2~7日程度の潜伏期間を経て、まず外陰部にかゆみが現れます。その後、強い痛みと腫れを感じて、外陰部に米粒大の赤い水ぶくれがいくつもできます。水ぶくれは数日で破れて、ジュクジュクした潰瘍(ただれ)を形成し、強い痛みを伴います。

下半身の知覚神経にウイルスが悪さをするので、歩行時に下着が軽くこすれるだけで激しい痛みを感じたり、排尿が困難になることもあります。太腿のリンパ節が腫れて、発熱することもあります。再発時も水ぶくれと潰瘍ができますが、痛みの程度は初感染時ほどではなく、10日程度で自然治癒します。

妊婦さんが性器ヘルペスに感染すると、流産や早産のリスクが生じるうえ、分娩時に産道感染を起こすと新生児ヘルペス感染症という死亡率の高い病気を発症することがあります。

従来、単純ヘルペスウイルスは、口唇を中心に症状が出る単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と、性器を中心とした下半身に症状が出る単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に分類されていましたが、オーラルセックス(フェラチオなど)を介して、1型が性器に症状を起こしたり、2型が口唇に症状を引き起こすことが増えたため、ウイルスの型の分類はそれほど意味がなくなりました。

性器ヘルペスは放置していても2~3週間で不快な症状は治まりますが、アシクロビル(ゾビラックス)やバラシクロビル(バルトレックス)という坑ヘルペス薬の投与によって1~2週間で治療することができます。皮膚症状の程度によっては塗り薬が処方されることもあります。先述のとおり、これらの坑ヘルペスウイルス剤でも完全にウイルスを死滅させることはできず、多くの人は初感染から1年以内に再発を経験します。

ジュクジュクした潰瘍に含まれる水分にもウイルスは含まれているので、そこに指で触れたり、キスすることで感染する恐れがあります。つまりコンドームを着用したセックスだけでは完全な予防は期待できないのです。

外陰部が赤くただれて、ヒリヒリ痛いのは外陰炎の可能性

外陰部に左右一対ある襞(ひだ)のことを大陰唇といいますが、「外陰炎」とは大陰唇とその周囲に起きる炎症のことはいいます。炎症には外陰部全体に起こる場合と、部分的に起こる場合とがあります。また、膣の炎症を伴うことも少なくありません。

肌に合わない下着の刺激に注意

外陰炎を起こすと、外陰部にかゆみを伴う湿疹が現れて、徐々に赤く腫れてただれてきて、ヒリヒリとした痛みや熱感、排尿痛、性交痛などの症状が現れます。

外陰部の皮膚自体は、構造上、それほど炎症に弱いというわけではないのですが、尿や便、おりもの、月経血などによって刺激を受けているため、シャワーで綺麗にしなかったり、蒸れやすい下着を着用するなど不潔な状態が続いたりすると、外陰炎を起こしやすくなります。

外陰炎は以下のように、細菌感染を原因とする「細菌性外陰炎」と、アレルギーやかぶれが原因による「非感染性外陰炎」の2つに大別することができます。

感染性外陰炎は、外陰部を不潔にしていたり、性交・マスターベーション等による過度な刺激でできた傷口から細菌が感染して起こるものです。原因菌として多いのは、大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などの一般的な細菌ですが、カンジダクラミジアトリコモナス原虫などのSTD(性感染症)の病原微生物や菌が炎症を引き起こすこともあります。さまざまな菌が複合感染を起こすと、症状は悪化します。

治療には炎症の原因菌を特定したうえで、その菌に有効な抗生物質を投与するとともに、抗ヒスタミン剤や抗炎症剤などを併用します。

非感染性外陰炎は、アレルギー、皮膚と下着との摩擦、化学繊維製の下着の着用、薬品やボディソープなどによるかぶれ、糖尿病、肥満によるまたずれなどが原因で外陰部に炎症が起こるものです。治療は原因を特定したうえで、それを排除することが先決です。そのうえでかゆみ止めの軟膏やステロイド剤などを使用します。

細菌性、非細菌性のいずれが原因である場合も、医師の診察なしに素人判断で区別できるものではありません。ドラッグストア等で購入した軟膏や家に保存してあった抗生物質などを使用するのは禁物です。

外陰炎を予防したり、治療の効果を高めるためには、常に外陰部を清潔に保つことが大切です。トイレで排泄する際は、必ず前から後に拭くようにします。意外にも成人女性で、後か前に拭く(=病原菌を尿道に近づけてしまう!)方が多く心配です。また化学繊維の下着やガードルなどの密着性の高い下着、パンティストッキングは外陰部が蒸れやすくなり、細菌を繁殖させてしまいます。